本屋で何度か見かけ、図書館にたまたま置いてあるのを見て、なんとなく気になったので、手に取った本。
結婚してもしなくてもうるわしきかな人生
巷では婚活系書物や、モテるためのノウハウ本が溢れる中(「おひとりさま」を肯定する系もあるけど、まだまだ少数派に思う。婚活アプリとか婚活市場は、盛況のようだし)
タイトルを見て、ぱらっと中を見た感じ、結婚しない人生もありだよという、前向きな本なのかな?と思った。
東京タラレバ娘も流行ったし、ドラマ化もしたし、世間の女性は結婚という言葉に相変わらず敏感らしい。
著者は静岡県浜松から上京して、キャリアを積んできたフリーのライター。
バリバリ仕事をこなし、キャリアを積みながら、都会の生活を楽しみ、交友関係も楽しみ、その合間に婚活もしてきた。
そんな著者の経験を基にした、女性へ向けたアドバイスのようなエッセイ集。
婚活サイト、結婚相談所など、著者が経験した婚活での、アドバイスや、こんな男は気をつけろといった内容。
共感できる部分もあれば、「へぇ、そう思う人もいるんだなぁ」と思う部分もあった。
たとえば
周囲の既婚女性は姑のことを、皆一様に「クッソババア」私の前でそう呼ぶ。
幸運?にも、私の周りで姑と仲が悪い既婚女性はいない。むしろ、子育ての協力を得ており、すごく感謝している。
我が家の場合、遠方住まいなので滅多に会わないが、仲は悪くない。
だから、ケースバイケースだと思う。
この著者の周りの既婚女性は、みんな口が悪くて、そして不運にも、たまたま姑と相性が悪かったんだと思う。
だから、婚活中の既婚女性のみなさま、姑はそんなに悪い人ばかりではないよ。
これは、あくまでも、一人の女性からのアドバイスとして受け止めたらいいのではないかな。
事実、例外だってあるし。
既婚の私にとっては、面白いエッセイだった。
就活で心が折れて、社会人2年目で結婚を理由にさっさと仕事を辞めて、ぬくぬくパートや子育てをしてきた自分とは、正反対の人生を送ってきた著者の話だから、新鮮。
ちょっと、うーんと思ったのが、著者の女性に対しての、「他人に誇れる仕事を持という」というアドバイス。
誇れるって難しいよなぁ。
著者のようなクリエイティブな仕事の人間は、そんなに多くない。
そもそも、世の中のほとんどの仕事、エッセンシャルワーカーと世のため人のためになる発明を生み出す天才や研究職以外は、別になくなっても、いい仕事。
世の中に過剰な供給を生むために人々の消費欲を刺激して、物やサービスを消費させて、経済を回すため、資本主義社会の奴隷のようなお仕事。
そんな仕事のために、身を粉にして働いて、誇りを持てるのだろうか?
代わりだって、いくらでもいる。
というか、体調崩したり、子どもが熱出した時とか、休みたい時は休める社会を作るのは大事じゃないか。
多少、職場に損害が出たって、自分の体、自分の家族、自分のプライベートの方が大事なんだ。
(プライベートより仕事・キャリア優先っていう生き方も否定はしないけど。それぞれのか価値観だよね)
スキルが貯まる仕事だって、10年後20年後、そのスキルはまだ必要とされているか、わからない。
逆に、将来のためなんて、これっぽっちも思っていなかった技術が、将来、役に立ったりする。
だから、最近の私は、「仕事は生活・金のため・あるいは暇潰し」と割り切る派になっている。
食うには、困らない。
だから、変に焦らない。
淡々と日々をこなし、パートに出る。
その分、自分の生活を楽しいや夢中になれるものにしている。
料理したり、読書したり、友だちとカフェでお茶したり。
なにか大きなプロジェクトを成し遂げたという経験をしなくても、満足している。
パートの仕事は、誇れるわけではないけど、残業もないし、職場の人間関係も良好だ。
もちろん、人生は何があるかわからないから、女性も稼げる手段をという考え方はわかるけれど、そこそこの蓄えと頼れる親と、最終的に逃げ込める実家があれば、そこまでだらだらと年齢を重ねることに怯えなくてもいいと思っている。
特別な理由がないなら、実家暮らしでも、別に構わないと思う。
恐怖や不安は時に人を突き動かす原動力になるけれど、その恐怖で走り続けることはしたくない。
というか、キャリアを積んで、どんどん成果を出していくような生き方が、多分、私の性格には合わなかったなぁ。
純粋にフルタイムで働く女性は、すごいと思うけど、そんなに頑張らなくてもいいよと思っちゃう。
でも、こういう生き方の人もいるんだなと思って、違う世界をのぞき込んだようで、面白い本だった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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